2月4日:『PEAKES』おかざき乾じろ、やんツー2人展

『PEAKES』おかざき乾じろ、やんツー2人展

日時:2019年2月4日(月)から終了未定。開廊日は月曜のみ (祝日はお休み)。15時より20時まで。
*他日は予約制のビューイングルームとして開催いたします。
会場:NOT SO BAD 〒112-0002 東京都文京区小石川4丁目-16-6-2F

Baexong Arts主催、会場NOT SO BAD(東京都文京区小石川)で、岡﨑乾二郎/やんツーによる「PEAKES」を開催いたします。


パイを片手に山をなぞるやんツー、ことば遊びで多重な頂きを描くおかざき乾じろ

本展はブロックチェーン技術の作品証明書を促進した「富士山展2.0」に参加した中央本線画廊で展覧会として始まり、NOT SO BADを通して展覧会からプロジェクトと変化してゆく予定です。ピークとは頂上のこと。私たちは山々に囲まれた不思議な世界に住んでいます。普段は山々に囲まれていることさえ知らずに。おかざき乾じろは山の頂きで、数字の言葉を抽象化することで世界のみえ方を変え、やんツーはラズベリーパイを片手に謎解きに挑みます。これは展覧会の形をとった、きっかけや呼びかけや抵抗です。

ブロックチェーンは難解に暗号化された情報です。スーパーコンピューターでさえ解くのが困難な暗号です。暗号を解いた者は、報酬を得られます。開かれた技術のブロックチェーンの世界では、誰でもマイナーと呼ばれる発掘業者になれますが、その謎解きは高度な装備が必要で、個人では準備が不可能とされています。また高額な電気代も必要となります。やんツーはフリークライマーのごとく軽装備で、高度な暗号の採掘にかかります。採掘の装備には小型コンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」を使います。採掘にかかる電力は、ストリートから拝借できるほど微弱です。それは無謀といも言えます。果たして報酬を手にすることはできるのか。やんツーは、山の形をなぞりながら、報酬とは何で、一体いくらなのか、価値とはどのように形成されてゆくのかを問います。

私たちの知っている中で一番低い報酬は0円で価値の低いものも0円です。0が一番少ない数字で、0がたくさんついた数字が一番高い数字だということを日常生活から私たちは学んでいます。他方で一番大切なものには価格がつけられないことも知っています。お金を使って欲しいクレジットカード会社でさえ「お金で買えないものがある。買えるものはマスターカードで」とうたうことで価格付け出来ないものが価格付けできるものより価値が高いことを認めています。おかざき乾じろは、このナゾナゾのような低いのか高いのかわからない数字の言葉を、作品の流通を通して抽象化し、私たちの生活の中に滑り込ませてゆきます。それは山に囲まれたこの世界を変える、きっかけの言葉です。

貨幣というメディウムにすでに収まっていない価格という概念が、様々な容れ物を乗り継ぎながら価値とどのように対峙し影響を及ぼしあうのか、そして作品の自律性を、中央集権的ではないブロックチェーンプラットフォームを通して考えるプロジェクトの一つとして企画されました。

企画:ユミソン
中央本線画廊企画時共催:スタートバーン株式会社「富士山展2.0」
協力:中央本線画廊
会場写真:  松尾宇人


おかざき乾じろ
1955年東京生まれ。1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)等のランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開。東京都現代美術館(2009~2010年)における特集展示。2014年のBankART1929「かたちの発語展」、2017年豊田市美術館『抽象の力―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』展の企画監督。主著に『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー 2014年)、『抽象の力 (近代芸術の解析) 』(亜紀書房 2018年)。

 

不二

 二つあるように見えるが 二つではない。
 が、見えるのは一つではない(一つであることは見えない)。
 見えるのは二つである
 
 二つは同じに見えるわけではないから、二つである。
 が、その同じに見えない、二つのものは、二つではない。
 それは現れにおいて違っているが、同じ一つのものである。

 同じであること、一つであること、は見えない。

 不二 とは、互いに似ていないものが、にもかかわらず、
 一つであることである。

                    おかざき乾じろ



やんツー
1984年、 神奈川県生まれ。美術家。2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。デジタルメディアを基盤に、行為の主体を自律型装置や外的要因に委ねることで人間の身体性を焙り出し、表現の主体性を問う作品を多く制作する。

文化庁メディア芸術祭アート部門にて「SENSELESS DRAWING BOT」が第15回で新人賞、「Avatars」が第21回で優秀賞を受賞(共に菅野創との共作)。近年の主な展覧会に「札幌国際芸術祭2014」、「あいちトリエンナーレ2016」、「DOMANI・明日展」などがある。

造⼭運動(ぞうざんうんどう、英:orogeny)とは、⼤⼭脈や弧状列島を形成するような地殻変動のこと。この様な造⼭運動が起きた地域を造⼭帯と呼ぶ(Wikipediaより)
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RaspberryPi(ラズベリー・パイ)とはカードサイズの安価な⼩型コンピュータで、UbuntuなどのLinux系OSをSDカードにインストールすることで動作する。2012年2⽉29⽇の発売初⽇に10万台の売上を記録しており、以降爆発的に普及し、今⽇、そのコストパフォーマンスの良さから世界中で様々な⽤途に使⽤されている。英国の「RaspberryPiFoundation」によって開発、販売されており、同財団創設者のイーベン・アプトン⽒(1978年〜)は「⼦どもたちがいつでも、気軽に触れられるコンピュータを」という思いから、教育⽬的でこのコンピュータを⽣み出した。ちなみに「RasberryPi」の名前の由来は「Apple」や「Apricot」、「Tangerine」など、パソコンの黎明期に登場した数々の名機に果物の名前がついていたことからきている。
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Bitcoin(ビットコイン)を開発したとされるサトシ・ナカモトを名乗る⼈物によって考案され、現在のあらゆる暗号通貨の技術基盤となっているブロックチェーン(分散型台帳)は、P2Pネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使⽤により、⾮中央集権(⾃律)的に管理され、⼀度記録すると、ブロック内の全てのデータを遡及的に変更することは不可能とされている。これが、仮想通貨の取引は安全性が確保されていると⾔われる所以である。
ブロック状に連なった台帳に新たな取引記録(ブロック)を追加するには、コンピュータの膨⼤な計算/検証による問題の解読が必要となり、成功すれば報酬として新たな貨幣(価値)が発給される。⼀連の計算⾏為が、鉱⼭から宝を探し当てるように困難な作業なことから「マイニング(採掘)」と呼ばれる。通常、マイニング作業はより早い計算処理を可能にする⾼額なGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)や「ASIC」というマイニング専⽤コンピュータによって⾏われる。
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Bitzeny(ビットゼニー)はモナーコインに次ぐ国産の暗号通貨で、2014年11⽉に発⾏され、初期開発者が不在の現在も、コミュニティによって開発/運営が継続されている。Bitzenyの「zeny(ゼニー)」は⽇本語の「銭」に由来する。この仮想通貨の最⼤の特徴がCPUでマイニングができること、すなわち普通のPCでも採掘が可能なことであり、マイニング参⼊への敷居が⾮常に低く、故にマイナーコインの中でも⽐較的⼈気が⾼い。ちなみにRaspberryPi3(ModelB)でBitzenyをマイニングすると、1⽇(24時間)で約0.25ZNY(≒0.05円、2019年1⽉15⽇現在)採掘できる。
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1637年にオランダで起きた「チューリップバブル」は世界最初のバブルと⾔われているが、経済の歴史ではその後も幾度となく世界中でバブルが起きている。⽇本では、第⼀次⼤戦後の軍需景気によってもたらされた⼤正バブルと、80年代後半から90年代初頭にかけて、株式や不動産といった資産の過度な⾼騰によるバブル経済が起こっている。記憶に新しい「シリコンバレーのゴールドラッシュ」と⾔われたインターネットバブルは1999年9⽉〜2000年3⽉までの、わずか18ヶ⽉のうちに相場が⾼騰し、急降下した。eコマースの可能性が具現化し、既存のビジネスモデルを揺るがせたことで多くの会社がインターネット関連の投資に⾛り、バブルを⽣んだ。崩壊後、煽りを受けたソフトバンクの株は1株6万円から1000円に⼤暴落。⼀⽅でGoogleやApple、eBayなど、当時のバブルを⽣き残ったベンチャー企業は急成⻑を遂げ、現在Amazonの株はインターネットバブル絶頂期の更に15倍もの価格を記録している。
2017年12⽉をピーク(Peak)にバブルが崩壊し、2019年1⽉現在も相場は未だに下降し続けている仮想通貨。下げ幅は80%に達し、インターネットバブルをのそれを超えた模様。バブルの歴史を鑑みると、ピーク時の相場⽔準に復帰するには、およそ15〜20年前後の歳⽉を要するようだ。
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Startbahn(スタートバーン)社は、最新技術をアート業界に導⼊することで、市場を活性化し、より豊かな社会を実現することを⽬標に掲げる。同社はアート作品の真贋証明、来歴管理にブロックチェーン技術を応⽤したサービスを2018年10⽉より本格的に開始した。公式サイトには、サービスの特徴として「作品の価値向上」を挙げ、「作品の価値を育て還元します」と記載されている。その真価を問うには当然、ある程度⻑い期間の運⽤が必要になるだろう。それは15年後か、あるいは20年後か。ところで作品の価値が⾃律的に上昇するようなことがあれば、それはどういった状況だろうか。その価値が上昇する過程は⼀体どのような様なのか。作品における価値とは何か。
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近年まで⽕⼭活動の記録が残っている富⼠⼭は、鉱床を形成するだけの⼗分な時間が経過しておらず、価値のある鉱物資源を採掘することはほぼ不可能である。

Text: やんツー



ブロックチェーンを使った作品証明付きの作品は以下から
・おかざき乾じろ│二八十一不在國
・やんツー│造山運動
・やんツー│富士山

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